2021/02/19 公開

Samsung SSD 980 PRO について

「ASRock X570 Taichi Razer Edition」マザー導入に伴いPCI Express 4.0に対応したM.2型NVMe SSDである「Samsung SSD 980 PRO」を購入しました。
「Samsung SSD 980 PRO」は公称値がシーケンリード最大7,000MB/s、シーケンライト最大5,000MB/sという高性能 M.2型NVMe SSD なのでレビューしてみました。また、RAID設定も行いましたので参考にしてください。

Samsung SSD 980 PRO の概要と特徴

「Samsung SSD 980 PRO」はPCIe Gen 4 x4レーンをサポートするM.2型NVMe SSDで容量が250GB/500GB/1TB/2TBの4種類が用意されています。今回購入したのは容量が1TBの製品です。

1.Samsung SSD 980 PRO 製品仕様

Samsung SSD 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0BW)仕様
コントローラー
容量
NANDフラッシュ
インタフェース
フォームファクタ
シーケンシャルリード
シーケンシャルライト
ランダム性能 4kリード(4KB, QD32)
ランダム性能 4kライト(4KB, QD32)
ランダム性能 4kリード(4KB, QD1)
ランダム性能 4kライト(4KB, QD1)
Samsung Elpis Controller
1TB
Samsung V-NAND 3bit MLC
PCIe4.0 × 4、NVMe1.3c
M.2(2280)
7,000MB/s
5,000MB/s
1,000,000 IOPS
1,000,000 IOPS
22,000 IOPS
60,000 IOPS

Samsung SSD 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0BW) 製品パッケージ

Samsung SSD 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0BW)

2.ASRock X570 Taichi Razer Edition マザーへの取付け


PCIe Gen 4 x4レーンをサポートしているX570チップセットを搭載しRazerとのコラボレーションの「ASRock X570 Taichi Razer Edition」 マザーを準備しました。
ASRock X570 Taichi Razer Edition マザー取り付け
ヒートシンクを外した状態のM.2ソケットで3基装備されています。
CPUに一番近いソケットがM2_1、次がM2_2、一番下がM2_3ソケットです。
M2_1ソケットに「Samsung SSD 980 PRO 1TB」を挿し込んだ状態です。 M2_1、M2_2、M2_3ソケット全てに「Samsung SSD 980 PRO 1TB」を挿し込んだ状態です。
各ソケットのカバーはヒートシンクになっています。

「ASRock X570 Taichi Razer Edition」の各ソケットの仕様を一覧にしました。
M.2ソケット NVMe(PCIE4.0x4)接続 SATA接続 排他利用 その他
M2-1 可能 可能 無し CPU直結
M2-2 可能 不可 無し チップセット経由
M2-3 可能 可能 PCIE4スロットと排他利用 チップセット経由

下記画像はX570 Taichi Razer EditionマザーのM.2ソケット 3基に「Samsung SSD 980 PRO 1TB」を装着した時の BIOSのNVMe Configuration画面です。
X570 Taichi Razer Edition
BIOS NVMe Configuration

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の CrystalDiskInfo 8.11.0 情報です。PCIe 4.0x4 に対応していることが分かります。また、PCをアイドル状態で30分経過したときの温度が「47℃」になっています。
ベンチマークソフト動作中は「66℃」まで温度が上昇しました。
CrystalDiskInfo 8.11.0 情報
30分アイドル状態後の温度 ベンチマークソフト稼働中の温度

測定環境
CPU AMD Ryzen 9 3950X( 3.5GHz )
CPUクーラー Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(水冷)
メモリー G.Skill TridentZ Neo F4-3800C18D-32GTZN(16GB×2)=32GB
マザーボード ASRock X570 Taichi Razer Edition5(X570)
システムHDD Crucial M4 SSD 256GB
サウンドカード CRIATIVE Sound Blaster ZxR
ネットワーク オンボード(Killer Ethernet E310)
OS Windows 10 64bit(Creators Update適用)
ビデオカード&ドライバー MSI nVIDIA GeForce GTX 1080 Ti ARMOR 11G OC(GeForce Driver 461.40 WHQL)
使用電源 ANTEC EA-650 (650W)

3.ベンチマーク結果

「ASRock X570 Taichi Razer Edition」搭載の M.2 ソケットのM2_1、M2_2、M2_3のソケット別にベンチ結果を取得しました。
ソケット M.2ソケット毎のベンチ結果
CrystalDiskMark 8.0.1 CrystalDiskMark 6.0.0 ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1
M2_1
M2_2
M2_3
CPU直結のM2_1ソケットでのベンチ結果は「CrystalDiskMark 8.0.1」ではシーケンシャルのQD値が「Q8T1」であるため公称値のリード7,000MB/s、ライト5,000MB/s に到達しませんでした。QD値が「Q32T1」と大きい「CrystalDiskMark 6.0.0」では公称値のリード7,000MB/s、ライト5,000MB/s を超えています。
チップセット経由のM2_2及びM2_3ソケットはCPU直結のM2_1より転送スピードが低くなっているのかベンチ結果は少し低い数値となっています。

4.システム起動用ディスクとしてRAID構築

システム起動用ディスクのRAID構築も可能のでシステム起動用ディスクのRAID構築の手順を説明したいと思います。
1)事前準備
以下の事前準備が必要になります。
項目 内容
① X570チップセット搭載マザーボードの準備 当然ながらX570チップセット搭載のマザーボードは必須です。
今回使用したのは「ASRock X570 Taichi Razer Edition」マザーです。
② マザーボードのBIOSを最新バージョンにアップデート 「ASRock X570 Taichi Razer Edition」マザーのBIOSを最新バージョンにアップデートします。
「ASRock X570 Taichi Razer Edition」の 最新バージョンは2021/02/18現在「AMD AGESA ComboAM4v2 1.2.0.0」に対応している「1.40」です。
③ バージョン1703以降のWindows 10 64bit版を準備 Windows 10 32bit版及び バージョン1703以前の 64bit版ではNVMe RAIDには対応していません。
Microsoftの下記URLから最新バージョンのWindows 10 をダウンロードすることが可能なので、バージョン1703以前のWindows 10 64bit版を持っていればプロダクトキーはそのまま使用することが可能です。
https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10
から入手した最新バージョンの「20H2」をUSBメモリーにコピーしたものを使用しました。
④ NVMe RAID ドライバーの入手 Windows 10 インストール時にNVMe RAID ドライバーが必要になりますのでAMDのサイトもしくはマザーボードメーカーサイトからドライバーを入手します。
AMDのサイトでは下記URLからNVMe RAID ドライバーの入手が可能です。
https://www.amd.com/ja/support/previous-drivers/chipsets/amd-socket-am4/x570
「ASRock X570 Taichi Razer Edition」のサポートサイトから入手した「SATA フロッピーイメージバージョン:9.3.0.167」ではRAID構築が出来なかったためAMDサイトから入手しドライバーを使用しました。
⑤ 不要なディスクデバイスは取り外す Windows 10 インストールに必要最低限のデバイスのみケーブルを接続し、他のデバイスはマザーからケーブルを外しておきます。

2)UEFI(BIOS)でのRAID設定

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」2枚使用してのRAID設定を説明します。
電源投入後、「Delete」キーを押してUEFI(BIOS)画面に入り詳細なRAID設定のための事前の設定を行います。
設定画面 設定内容
「アドバンスト」-「ストレージ設定」-「NVMe Configuration」の画面で「Samsung SSD 980 PRO 1TB」が2枚とも認識されていることを確認します。
認識されていない場合はM.2ソケットへの取り付けが不十分である可能性があるので、一度、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をソケットから取り外し、再度、取り付け直します。それでも認識されない場合は「Samsung SSD 980 PRO 1TB」もしくは「ASRock X570 Taichi Razer Edition」マザーが不良品である可能性があります。
「アドバンスト」-「ストレージ設定」-「SATA コントローラ」はデフォルト「AHCI」になっているので「RAID」に変更します。
「アドバンスト」-「AMD PBS」-「NVMe RAID mode」はデフォルト「Disabled」になっているので「Enabled」に変更します。
「起動」-「CMS(互換性サポートモジュール)」-「CMS」はデフォルト「有効」になっていますので「無効」に変更します。
ここまでの設定内容を保存しUEFI(BIOS)を再起動します。再起動したら「Delete」キーを押してUEFI(BIOS)画面に入り直します。
「アドバンス」画面に「RAIDXpert2 Configuration Utility」の項目が追加されています。

再起動後にUEFI(BIOS)画面に入り直したら詳細なRAID設定を行います。
設定画面 設定内容
「アドバンス」-「RAIDXpert2 Configuration Utility」画面を開くと「Controller Management」「Array Management」「Pysical Disk Management」の3項目が表示されます。
「アドバンス」-「RAIDXpert2 Configuration Utility」-「Array Management」を画面を開き、「Delete Array」を選択します。

Arrayが表示されるので、「Check All」を選択し、全てのArrayを「Enabled」に変更し 「Delete Array(s)」を選択し削除します。  

「アドバンス」-「RAIDXpert2 Configuration Utility」-「Array Management」-「Delete Array(s)」の 画面で「Confirm」を「Enabled」に変更し「YES」を選択しArrayの削除を実行します。
Arrayの削除が終了したら「アドバンス」-「RAIDXpert2 Configuration Utility」-「Array Management」で「Create Array」を実行します。
「Create Array」を実行すると左の画面が表示されます。
「Select RAID Level」の項目は「RAID 0」を選択します。次に「Select Physical Disks」でRAID構築する「Physical Disk」を選択します。
「Select Physical Disks」画面で、「Select Media Type」は「SSD」に設定します。表示されている「Physical Disk」はすべて「Enable」に変更します。「Check All」をクリックするとすべての「Physical Disk」が「Enable」に設定されます。
「Apply Changes」で変更内容を確定します。
元の画面にもどると「Select CacheTagSize」が表示されます。キャシュサイズの変更が可能です。通常は「256KB」の設定でいいかと思います。今回はキャッシュを「64KB」に変更しデータ書き込み中に停電等によるデータ破損を最小に抑える設定にしRAID構築します。
「Create Array」を実行するとRAID構築が完了します。
ここまでの設定内容を保存することを忘れないようにしましょう。設定内容を保存し、再起動を実行しUEFI(BIOS)に入り内容を確認します。

3)Windows インストール手順

Windows インストール画面 設定内容
Windows のインストール場所の選択画面ではUEFI(BIOS)でRAID設定されると左の画面のようにパーティションや割り当てられていない領域が表示されています。AMD RAID ドライバーを読み込むために「ドライバーの読み込み」を実行します。
この画面での削除作業は実行しないよう注意してください。削除してしまうとRAID情報が削除されてしまうためインストールができなくなります。もし、削除してしまった場合は、UEFI(BIOS)画面でRAID設定をやり直します。
インストールするドライバーの選択画面で「参照」ボタンをクリックしてドライバーを保存してある場所を選択します。
AMD RAID ドライバーはUSBメモリーに解凍してあるので「ESD-USBドライブ(C)」-「WIN10」-「x64」-「NVMe_CC」-「rcbottom」フォルダを選択し、「OK」ボタンをクリックします。
「Floppy(v9.3.0.167)」はASRockの「X570 Taichi Razer Edition」サイトから入手したRAIDドライバーですがこのドライバーではRAID構築できませんでした。
ドライバーが2種類表示されますが一番上の「AMD-RAID Bottom Device」行を選択し、「次へ」ボタンをクリックします。
Windows のインストール場所の選択画面には何も表示されなくなります。再度、「ドライバーの読み込み」を実行します。
「ESD-USBドライブ(C)」-「WIN10」-「x64」-「NVMe_CC」-「rcraid」フォルダを選択し、「OK」ボタンをクリックします。
表示されたドライバーの「AMD-RAID Controller」行を選択し、「次へ」ボタンをクリックします。
インストール場所が1行表示されますが、再度、「ドライバーの読み込み」を実行します。
ESD-USBドライブ(C)」-「WIN10」-「x64」-「NVMe_CC」-「rccfg」フォルダを選択し、「OK」ボタンをクリックします。
表示されたドライバーの「AMD-RAID Config Device」行を選択し、「次へ」ボタンをクリックします。
Windows のインストール場所が1行表示されますので行を選択し、「次へ」ボタンをクリックします。
Windows のインストールが開始されます。

RAID構成 RAID0 ベンチ結果
CrystalDiskMark 8.0.1 CrystalDiskMark 6.0.0 ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1
M2_1、M2_2でRAID構築
M2_1、M2_2、M2_3でRAID構築
2枚でRAID構築した時のベンチ結果ではリードは2倍(14,000MB/s)にはなりませんでしたが、ライトは2倍のベンチ結果となりました。3枚でRAID構築した場合、リードは3倍(21,000MB/s)ではなく半分以下の結果となり2枚構成よりも低い結果となりました。

5.総合評価


1)RAID設定は2枚構成がベスト
性能を追求したRAID設定は2枚構成がベストかと思います。2GB以上の容量を必要とした場合、2TB製品をM2_1とM2_2に組み込んだ2枚構成がベストかと思います。
個人的には容量が4TBまで必要なかったことと3枚構成でも十分な性能を発揮しているので不満はありません。





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