2021/02/26 公開

Ryzen 9 3950X について

「Ryzen Threadripper 1950X」を使用して約3年経過しました。グラフィックカードを「GeForce RTX 2080 Ti GAMING Z TRIO」に交換してからCPUのボトルネックが気になっていたので思い切ってCPUを交換することにしました。本来なら「AMD Ryzen 9 5950X」に交換したかったのですが流通量が非常に少なく入手困難なため一世代前の「AMD Ryzen 9 3950X」に交換しました。
「AMD Ryzen 9 3950X」はRyzenの最上位モデルに位置します。コア数/スレッド数は「Ryzen Threadripper 1950X」と同じ16コア/32スレッドですがブーストクロックが4.0GHzから4.7GHzへとかなり高くなります。「Ryzen Threadripper 1950X」から「AMD Ryzen 9 3950X」への交換はダウングレードように思われますが高いブーストクロックや大きいキャッシュサイズが性能としてはアップグレードしたと思っています。ベンチマークテストを実行したので参考にしてください。

1.Ryzen 9 3950X (3.5GHz)の仕様と特徴
プロセス技術 7nm
ソケット形状 Socket AM4
CPUコア数/スレッド数 16コア/32スレッド
L1/L2/L3キャッシュ L1キャッシュ合:1MB、L2キャッシュ合:8MB、L3:キャッシュ合計 64MB
基本クロック/最大ブースト・クロック 3.5GHz/4.7GHz
メモリー 2チャンネル DDR4-3200MHzをサポート
アーキテクチャー 「Zen2」コア
その他 105W TDP、PCI Express 4.0をサポー

AMD Ryzen 9 3950X 製品ボックス
製品ボックス正面 製品ボックス内容

AMD Ryzen 9 3950X 本体
表面 裏面

CPUクーラーは「Corsair iCUE H150i RGB PRO XT」を使用しました。
Corsair iCUE H150i RGB PRO XT

AMD Ryzen 9 3950X ( 7nm、3.5GHz、16コア/32スレッド


2.オーバークロック制御用AMD Ryzen Masterユーティリティ

「AMD Ryzen Master」は下記サイトからダウンロード可能です。
http://www.amd.com/ja/technologies/ryzen-master
AMD Ryzen Master Basic View
AMD Ryzen Master Basic Viewは、Ryzen CPUのCPU温度、クロックスピード、CPU電圧の管理とオーバークロック設定をWindows上で設定できる便利なツールです。

AMD Ryzen Master Advanced View
Advanced View では「Creator Mode」と「Game Mode」の2種類のモードが設定可能です。

「Creator Mode」及び「Game Mode」で「Stress Test」を実行し設定したクロックで動作するかテストを行います。

オーバークロック設定後のCPUクロックを「Core Temp」で確認しました。
AMD Ryzen Master によるオーバークロック
Creator Mode Game Mode
「Creator Mode」では16コアが4.17GHz~4.2GHzで動作しました。「Game Mode」ではコア数は半分の8コア動作になり4.2GHzで動作しました。
公称値の最大ブースト・クロックの4.7GHzより低いクロック数ですが「Ryzen Threadripper 1950X」では3.7GHzだったので一応満足ですが4.5GHzぐらいには到達してほしかったです。

3.ベンチマーク結果

ベンチマーク測定環境
CPU Ryzen 9 3950X (3.5GHz) Ryzen Threadripper 1950X (3.4GHz)
CPUファン Corsair製 iCUE H150i RGB PRO XT(水冷) ENERMAX製 ELC-LTTR360-TB (水冷)
メモリー G.Skill TridentZ Neo F4-3800C18D-32GTZN (16GB X 2) = 32GB CORSAIR CMK16GX4M2B3200C16 (8GB X 2)x 2 = 32GB
マザーボード ASRock X570 Taichi Razer Edition ( BIOS P1.40 ) ASRock X399 Taichi ( BIOS P3.90 )
システムHDD Samsung SSD 980 PRO 1TB x 3(RAID 0) Samsung SSD 960 PRO 512GB x 2(RAID 0)
サウンドカード オンボード(Realtek ALC1220) CRIATIVE Sound Blaster ZxR
ネットワーク オンボード(Killer E3100G) オンボード(Intel I211AT)
OS Windows 10 Pro 64bit( バージョン 20H2 )
ビデオカード&ドライバー MSI GeForce RTX 2080 Ti GAMING Z TRIO
使用電源 Thermaltake TOUGHPOWER GRAND RGB 1200W クーラーマスター V1200 Platinum (1200W)

1)CPUベンチマーク

SiSoftware Sandra Lite 2020
「SISsoftware Sandra Lite 2020」ベンチソフトの「暗号処理」では「Ryzen Threadripper 1950X」が「Ryzen 9 3950X」より良いパフォーマンス結果となりました。その他のベンチ結果は「Ryzen 9 3950X」の方がかなり良い結果となりました。

グラフィックベンチマーク

CINEBENCH R20

CINEBENCH R23


3DMark Time Spy / Time Spy Extreme
CPUスコアは「Ryzen 9 3950X」良い結果になりましたが、Graphicsスコア、FPSにもCPUの性能が影響しているのが分かるかと思います。

3DMark Fire Strike
3DMark Fire StrikeのGraphics1のFPSでは「Ryzen Threadripper 1950X」が極端に低し結果となっています。これはCPUがボトルネックになっていたものと思われます。
3DMark Fire StrikeでもGraphicsスコアにCPUの性能が影響しているのが分かるかと思います。

HITMAN Ⅲ(FPS)
「HITMAN Ⅲ」にはベンチマークを測定する機能が備わっていますので測定してみました。ベンチマークを想定するシーンが2種類用意されていますが2種類共に「Ryzen Threadripper 1950X」の解像度:1920x1080がFPSが低くなっているのはCPUがボトルネックになっていると思います。低解像度ほどCPUの性能が影響していると思います。

F1 2020(FPS)
「F1 2020」にはベンチマークを測定する機能が備わっていますので測定してみました。「Ryzen Threadripper 1950X」の解像度:1920x1080と2560x1440はFPSが頭打ちになっているのでCPUがボトルネックになっていると思います。低解像度ほどCPUの性能が影響していると思います。

3)ビデオエンコード処理

ビデオ編集ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使用してのエンコード処理性能を測定します。
TMPGEnc Video Mastering Works 7

ビデオソースデータ と 出力ビデオデータの設定
ビデオソースデータ(「HITMAN Ⅲ」 GeForce Experienceによる録画データ )
映像 ・長さ
・映像サイズ
・平均ビットレート
・ストリーム形式
6分14秒、22471フレーム、1.7GB
3840 x 2160
37633kbps
H.264/AVC
音声 ・サンプリング周波数
・ビットレート
・ストリーム形式
48kHz
186kbps
MPEG-4、AAC
出力ビデオデータ(MP4ファイル、H.264/AVC)のエンコード設定
映像 ・映像サイズ
・平均ビットレート
・最大ビットレート
・ストリーム形式
・映像エンコーダー
・フレームレート
1920 x 1080
24.85Mbps(1パスVBR)
99.4Mbps
H.264/AVC
x264
60fps
音声 ・サンプリング周波数
・平均ビットレート
・ストリーム形式
48kHz
128kbps
MPEG-4、AAC
出力ビデオデータ(MP4ファイル、H.265/HEVC)のエンコード設定
映像 ・映像サイズ
・平均ビットレート
・最大ビットレート
・ストリーム形式
・映像エンコーダー
・フレームレート
1920 x 1080
14.9Mbps(1パスVBR)
74.5Mbps
H.265/HEVC
x265
60fps
音声 ・サンプリング周波数
・平均ビットレート
・ストリーム形式
48kHz
128kbps
MPEG-4、AAC

TMPGEnc Video Mastering Works 7 による 1秒当たりの処理フレーム数(フィルタリング設定なし)
TMPGEnc Video Mastering Works 7 (1秒当たりの処理フレーム数)


4.まとめ

「Ryzen 9 3950X」の各ベンチソフトの結果は「Ryzen Threadripper 1950X」より良い結果が出たのはベンチソフト実行中のCPUクロックは「Ryzen Threadripper 1950X」では3.7GHzで「Ryzen 9 3950X」では4.15GHz~4.2GHzで動作していたため動作クロックの違いによりベンチ結果に差が出たものと思います。本命の「Ryzen 9 5950X」が入手できるまでの繋ぎになりますが十分な性能だと思います。
「Ryzen 9 5950X」が入手できたときには「Ryzen 9 3950X」と比較したいと思います。




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