2008/12/06公開


ストリーミングプロセッサー216ユニット、爆速のコアクロック666MHz
      
怪しく黒く光る XFX GeForce GTX260 Black Editionです


「TMPGEnc 4.0 XPress」がCUDA 2.0 をサポートしエンコード処理を高速にしたというアナウンスがあったこともあり、GeForceGTXには非常に興味がありました。GTX280かGTX260かどちらのカードを購入するか迷っていたところ、XFXからGeForceGTX260のストリーミングプロセッサー216ユニット(当初、「192」)で、GeForceGTX260の中でもコアクロック666MHzと最速のカードが発売されたので、早速購入してみました。
メインのPCでnVIDIAチップ搭載カードを使用するのは「ELSA GLADIAC 925ViVo」(GeForce4Ti4600チップ)以来で、ATIのRADEON切り替えてから約5年ぶりのnVIDIAチップ搭載カード使用の復活です。

XFX GeForceGTX260 同梱内容 XFX GeForceGTX260カード本体 G200-103 チップ hynix製 GDDR3
※「3DMark Vantage」と「FarCry2」がバンドルされています。「3DMark Vantage」はレジストコードが入っていました。

ヒートシンクを取り外したところ

分解後のカード表面

分解後のカード裏面 NVIO2チップ
※NVIO2チップは、HDCPなど,インタフェース関係の制御チップのようです。

PCI Express 電源、SPD/IF コネクタ SLI コネクタ 上はRADEON HD2900XT カード裏面
※PCI Express電源コネクタは6pin+6pinになっています。PCI Express電源コネクタの横にオーディオSPDIFの入力コネクタがあり、HDMI接続時には音声出力されます。
 カード長がHD2900XTより長いので、我が家のPCケースには入ったことは入りましたがかなりきつきつの状態です。

XFX GeForce GTX260 Black Editionの仕様
グラフィックスユニット nVIDIA GeForce GTX260
バスシステム PCI Express(2.0) x16
プロセスルール 65nm
ストリーミングプロセシングユニット 216 SPU
コアクロック プロセッサスピード 666MHz
ディスプレイメモリ 896MB GDDR3 1150MHz(DDR 2.3GHz) 448bit
コネクタ DVIx2(DualLinkDVI)
TV-Out(HDTV)、HDMI出力対応
対応API OpenGL 2.1、DirectX 10.0(Shader Model 4.0)、HDTV ディスプレイ対応
NVIDIA SLI technology、NVIDIA PureVideo HD technology
NVIDIA PhysX-Ready、NVIDIA CUDA technology
その他付属品 DVI→D-SUB変換コネクタ
DVI→HDMI変換コネクタ
HDTV対応コンポーネントケーブル
SPDIF-in 内部接続用ケーブル
4pin(x2)→6pin電源変換ケーブル
ドライバCD-ROM、マニュアル
バンドルソフト:3DMark Vantage、FarCry2
※リファレンスカードのGeForceGTX260は、コアクロック576MHz、メモリークロック1.99GHzです。ストリーミングプロセッサは当初192ユニットでした。

測定環境 Asustek P5W DH Deluxe
CPU intel Xeon E3110 (3.0GHz)
CPUファン リテール
メモリー SanMax DDR2-800 CL5 hynix1GB×2=2GB
BIOS設定:SPD (5-5-5-18) 1066MHz(オーバークロック)
マザーボード Asustek P5W DH Deluxe(i975X + ICH7R)
HDD Seagate Barracuda 7200.11 (ST3320613AS) (320GB)
サウンドカード ONKYO SE-2000PCI LTD
ネットワーク オンボード(Marvell 88E8053)
OS Windows XP Professional SP3 DirectX9.0c
Windows Vista Ultimate SP1 DirectX10.0
ドライバー nVIDIA GeForce GTX260 : Geforce 180.48 WHQL
ATI RADEON HD2900XT : CATALYST 8.11
使用電源 Antec TRUEPOWER Quattro TPQ-850 (850W)


ドライバーインストール後に、「nVIDIA System Tools software」をインストールするとコントロールパネルに「パフォーマンス」項目が追加され、「デバイス設定」でGPU、メモリ、シェーダーのクロックを変更することができます。

nVIDIA コントロールパネル

nVIDIAコントロールパネル PhysX設定


GPU-Z 0.3.0
デフォルトクロック アイドル状態

アイドル状態が続くと上記のように、設定値のクロックから
・GPUクロック   666MHz⇒300MHz
・メモリークロック 1150MHz⇒100MHz
・Shaderクロック 1404MHz⇒601MHz
のようにクロックが下がり、省電力モードとなりGPUの温度を下げます。オーバークロックした場合でもアイドル状態のクロックは同じになります。

コアクロック、メモリクロック、シェーダークロックを変更できるデバイス設定

※「最適値の検出」でコアクロックは744MHzに到達しましたが、ベンチソフトは途中でフリーズしてしまいます。各ベンチが取得できるコアクロックは720MHzでした。

コアクロック 720MHz へオーバークロック



ベンチマーク結果


DirectX10のベンチマーク

3DMark Vantage build1101

コアクロック:720MHz PhysX設定:有効 3DMark Vantage Performanceモード ベンチ結果


3DMark Vantage build1.0.1 Performanceモード

※PhysXを有効にすると、驚異的なスコアを叩き出しました。


DirectX9のベンチマーク

3DMark06 build110

クロック周波数設定
 コア クロック
 メモリークロック
GTX260
デフォルト666MHz
GTX260
720MHz
HD2900XT
解像度

1280×1024 32bit

PhysX設定 無効 有効 無効 無効 -
Anti-Aliasing/AnisotropicFiltering None 
8x
None  None  8x
3DMark Score 14330 14320 11630 14529 11206 6719
SM 2.0 Score 6590 6574 5577 6557 4742 2635
SM 3.0 Score 7417 7423 4930 7711 5290 2702
CPU Score 2826 2824 2822 2834 2797 2802
Graphics Tests Return to Proxycon(fps) 54.125 54.066 47.924 53.897 36.017 21.155
Firefly Forest(fps) 55.701 55.495 45.028 55.393 43.013 22.760
CPU Tests CPU1 - Red Valley(fps) 0.890 0.891 0.889 0.893 0.883 0.883
CPU2 - Red Valley(fps) 1.436 1.432 1.433 1.439 1.418 1.422
HDR Tests Canyon Flight (SM 3.0)(fps) 79.237 79.233 58.443 84.312 47.517 30.639
Deep Freeze (SM 3.0)(fps) 69.095 69.219 40.149 69.916 58.291 23.410


3DMark06 build110

※3DMark06でのPhysXは、3DMark Vantage ような効果は出ませんでした。

3DMark05 build130

クロック周波数設定
 コア クロック
 メモリークロック
GTX260
HD2900XT
解像度
1280×1024 32bit
Anti-Aliasing
None
8x
None 8x
3DMark Score 19824 19264 18226 12177
CPU Score 14302 14274 14914 14659
Game Test GT1-Return to Proxycon(fps) 69.8 68.7 69.1 52.0
GT2-Firefiy Forest(fps) 53.9 53.2 53.9 35.5
GT3-Canyon Flight(fps) 132.4 106.7 104.1 67.2
CPU Test CPU Test1(fps) 8.3 8.3 8.9 8.6
CPU Test2(fps) 11.0 10.9 11.1 11.1


3DMark05 build130



ゲームベンチ

DirectX9.0cでのゲームソフトによるベンチマーク結果。

FraCry2

Crysis デモ版
LOST PLANET デモ版



コアチップの温度
(クロックはデフォルト、室温24℃)

  GTX260 HD2900XT
コア 無負荷 40℃ 44℃
ベンチ動作中 73℃ 69℃

※GTX260は3DMark Vantage ベンチ取得中のコア温度で、「nVIDIA System Monitor」で計測しました。

TMPGEnc 4.0 XPress CUDA 2.0

nVIDIA CDUA(Compute Unified Device Architecture) 2.0 は、GPUのプロセシング処理を利用する技術で、「TMPGEnc 4.0 XPress」がこのCUDA 2.0をサポートし、エンコード処理で利用することが可能になっています。

TMPGEnc 4.0 XPress ver4.6.3.268


ビデオソースデータ
・MTV2000録画データ (1分、62.7MB)
・Video size         720 x 480
・Video bitrate     8000kbps(CBR)
・Audio format     MPEG-1 Layer-2
・Audio frequency 48kHz
・Audio bitrate     224kbps
出力ビデオデータ(WindowsMediaファイル)のエンコード設定
映像 ・Video size         720 x 480
・Video bitrate     2394kbps(2パスCBR)
・Video codec      Windows Media Video 9
・Video framrate 29.97fps
音声 ・Audio codec      Windows Media Audio 9.2
・Audio format   192kbps、48kHz、Stereo(2パスCBR)
出力ビデオデータ(MPEGファイル)のエンコード設定
映像 ・Video size         720 x 480
・Video bitrate     4000kbps(2パスVBR)
・Video codec      MPEG-2
・Video framrate 29.97fps
音声 ・Audio codec      MPEG-1 Audio Layer K
・Audio format   192kbps、48kHz


TMPGEnc 4.0 XPress CUDA 2.0 設定


TMPGEnc 4.0 XPress CPU&CUDA 使用率の表示

※エンコード中の、CPUとCUDAの使用率がリアルタイムに表示されます。

各フィルタ毎のCUDA効果を調べてみました。

フィルタ別 MPEG-2 エンコード時間
フィルタ CUDA有効 CUDA無効
全フィルタ無効 47秒 32秒
全フィルタ有効 1分30秒 4分13秒
映像ブロック 1分1秒 33秒
映像ノイズ除去 1分36秒 51秒
輪郭強調 1分59秒 46秒
色調補正 1分2秒 33秒
音声ノイズ除去 1分0秒 33秒
音声ボリューム調整 1分2秒 33秒
映像シャープネス 1分19秒 46秒
スマートシャープネス 1分55秒 3分0秒
映像ぼかし 50秒 48秒
映像フリッカー軽減 1分14秒 51秒
ゴースト除去 1分1秒 42秒
色ずれ補正 1分2秒 42秒
色調補正 1分1秒 42秒

※唯一効果のあったのが「スマートシャープネス」でした。

フィルタ別 CPU&CUDA 使用率

※CUDAの効果の一番大きかった「スマートシャープネス」はCUDAの使用率が「98.4%」でした。

  TMPGEnc 4.0 XPress
WindowsMediaファイル MPEGファイル
フィルタなし 全フィルタ有り フィルタなし 全フィルタ有り
CUDA 2.0 無効 2分21秒 6分19秒 32秒 1分2秒
CUDA 2.0 有効 2分50秒 3分52秒 47秒 4分13秒



総評

1)GeForceGTX280を超える性能
手元にGeForceGTX280が無いので、いろいろなサイトに掲載されているベンチ結果と比較すると、「XFX GeForceGTX260 Black Edition」はGeForceGTX280を超える性能になっています。価格的には、GeForceGTX280よりも約1万円ほど安くなっていて購入しやすい価格なので、安い価格でGeForceGTX280の性能を手にしたい方には、打ってつけの製品です。
コアクロックも700MHzを超える720MHzでベンチソフトが通りましたが、長時間で安定的にゲームをするには、デフォルトの666MHzでもちょっと厳しく、たまにゲームソフトが途中で終了してしまいます。コアクロックを660MHz以下にし、シェーダークロックも少し下げることによって長時間でのゲームも安定してプレイすることができます。コアクロック660MHzでもかなりの性能を発揮します。

2)TPMGEnc4.0 XPressでのCUDA 2.0 は以外に効果は薄い
TMPGEncでのCUDA効果を期待したのですが、以外にも効果はほとんど無いといえます。ただし、環境によってはCPUの方がエンコード速度が速いとのアナウンスがありましたが、CUDA効果があったのは「スマートシャープネス」フィルターのみでした。TMPGEnc 4.0 XPressもすべてにおいてCUDAに最適化されているわけではないので、今後、最適化が進むことによってエンコード速度が速くなることに期待したいと思います。
ただし、CUDAを有効にしたときのCPUとCUDAの使用率を見ると、CUDAがほとんど90%以上の使用率ですので、CPUパワーが足りない環境ではCUDAの効果はかなり期待できるものと思われます。

3)以外にも静か
HD2900XTだとベンチソフトを起動すると冷却ファンの回転が上がりかなりの騒音になります。「XFX GeForceGTX260 Black Edition」はファンの回転も上がることなく静かな状態を保っています。
「XFX GeForceGTX260 Black Edition」は出回っている数量がかなり少ないので入手は難しいですが、他のストリーミングプロセッサー216版のGeForceGTX260だと、更に安く、入手しやすいかと思います。




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