2010/05/02公開
2010/05/03更新 update2010/05/06

WindowsXPで問題発生(2010/05/03) update2010/05/06

AMD初の6コアデスクトップ用プロセッサー

 45nmプロセス、ThubanコアのPhenomII X6 1090T Black Editionです

AMDとして初めて6コアのデスクトップ用プロセッサーを4月27日に発表し、29日にはアキバで一斉に発売開始となりました。我が家の「Phenom X4 9950 Black Edition」は使用開始してから1年半を超えているのでそろそろ買い替え時期かなと考えていたところ、手持ちのマザー「GA-MA790GP-DS4H」が「PhenomII X6」に対応しているようなので最上位プロセッサである「PhenomII X6 1090T Black Edition」の購入に踏み切りました。ここにレビュー記事を掲載しましたので購入の参考にしてください。

1.PhenomII X6 1090T Black Edition (3.2GHz:Thubanコア)の特徴
・Socket AM3 (938ピン) パッケージ を採用、200MHzシステム・バス、L1キャッシュ 64KB×6、L2 キャッシュ 512KB×6、L3 キャッシュ 6MB、最新の45nmSOIプロセス技術、6コア、TDP125W
Enhanced 3DNow !、3DNow !、SSE2、SSE3、統合DDR3/DDR2メモリ・コントローラ、Turbo CORE機能

PhenomII X6 1090T
Black Edition 同梱内容
PhenomII X6 1090T
Black Edition 本体
PhenomII X6 1090T
Black Edition 化粧箱
左は1090T、右は9550 左は1090T、右は9550 左は1090T、右は9550

1090Tの化粧箱は9550よりも小さくなっています。更に、ヒートシンクも若干小型化され、CPU接地面の形状も変更されています。

PhenomII X6 1090T Black Edition (3.2GHz:Thubanコア)
790GXチップはBIOSアップデート必須  
 

「GIGABYTE GA-MA790GP-DS4H(AMD 790GX + SB750)」マザーのBIOSを最新の「F7E」(ベータ版)にアップデートする必要があります。
だたし、テスト中の5月2日現在、日本のGIGABYTEのサイトには「F7E」BIOSはアップされていません。「F7E」BIOSはGlobalのサイトにアップされています。
尚、BIOSアップデートは自己責任で行ってください。

2.測定環境

測定環境      
CPU Phenom X6 1090T BE Phenom X4 9950 BE intel Core 2 Quad Q9650(4.23GHz)
CPUファン リテール & ZIPANG SCZP-2000 ZIPANG SCZP-2000 ZIPANG SCZP-1000
メモリー Corsair TWIN2X4096-8500C5DFDDR2-1066 CL5 2GB×2=4GB SanMax DDR2-1066 CL5 ELPIDA
2GB×2=4GB (銅(Cu)配線プロセス)
マザーボード GIGABYTE GA-MA790GP-DS4H(AMD 790GX + SB750) BIOS(F7E) Asus Maximus II Formula(P45 + ICH10R)
HDD Barracuda 7200.7 Plus (ST3200822A) Barracuda 7200.11(ST3320613AS)
サウンドカード オンボード(Realtek ALC889A) ONKYO SE-200PCI LTD
ネットワーク オンボード(Realtek RTL8111C) オンボード(Marvell 88E8056)
OS Windows7 Ultimate 64bit
ビデオカード&ドライバー ATI Radeon HD3300 Catalyst 10.4 XFX GeForce GTX260 Black Edition



3.自動クロックアップ「Turbo Core」機能
「Turbo Core」機能はTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の範囲内で一部のコアを自動的にクロックアップ動作させる機能です。

アイドル状態では800MHzまでクロックダウン 負荷が掛かると3.6GHzまで自動的にクロックアップ


「AMD Over Drive Ver 3.2.1 ユーティリティ」で各コアの状態を見てみました。アイドル状態の場合、全てのコアが倍率4xの800MHz近辺までクロックダウンされています。
6コア全てのコアに全負荷がかかる場合(CINEBENCH動作の場合等)は、全コア定格の3.2GHzで動作し、6コア中一部のコアにのみ負荷がかかるような場合(Superπ等)は一部のコアがブースト状態になり、倍率18xの3.6GHzまでクロックアップされます。ブーストされるコアは一定コアのみではなく、ブーストされるコアは常に変わります。「AMD Over Drive Ver 3.2.1 ユーティリティ」を見ているとブーストされるコアがランダムに変わっていくのがわかります。

全てのコアがアイドル状態
一部のコアがブースト状態
全コアの負荷全開状態


「AMD Over Drive Ver 3.2.1 ユーティリティ」で「Turbo Core」の設定を変更することができます。「パフォーマンス制御」-「クロック/電圧」画面中の「Turbo Core コントロール」を押します。

「パフォーマンス制御」-「クロック/電圧」画面


「Turbo Core コントロール」画面では以下の項目を変更することができます。
・Turbo Core の有効・無効の変更(デフォルト有効)
・ブーストするコア数:0〜5(デフォルト3)
・各コアの倍率:デフォルト18x

Turbo Core コントロール


4.Turbo Core の限界は?
「Turbo Core」機能を有効化したままでのクロックアップの限界点を探ってみました。CPU VIDの電圧はデフォルト状態です。
CPUヒートシンクは「ZIPANG2 SCZP-2000」を使用しています。

CPU VID 1.3v、倍率18xの3.6GHz 6コア全てが3.6GHzで動作


「Turbo Core」の設定は、ブーストコア数:5、倍率21.5xが限界でした。
マザーボードのBIOS画面で倍率を変更した場合、「Turbo Core コントロール」の倍率にBIOSの倍率が反映されます。

ブーストコア数 5、倍率21.5xの4.3GHz 一部のコアが4.3GHzまでブーストされます



5.ベンチマーク結果

Superπ 104万桁


SiSoftware Sandra Lite 2010.SP1d


3DMark06 Build 120 (CPU Score)
PCMark05 Build 120 (CPU Score)
CINEBENCH R11.5 64bit版



ビデオエンコード
TMPGEnc 4.0 Xpress


ビデオソースデータ と 出力ビデオデータの設定
ビデオソースデータ
・MTV2000録画データ (1分、62.7MB)
・Video size         720 x 480
・Video bitrate     8000kbps(CBR)
・Audio format     MPEG-1 Layer-2
・Audio frequency 48kHz
・Audio bitrate     224kbps
出力ビデオデータ(WindowsMediaファイル)のエンコード設定
映像 ・Video size         720 x 480
・Video bitrate     2394kbps(1パスCBR)
・Video codec      Windows Media Video 9
・Video framrate 29.97fps
音声 ・Audio codec      Windows Media Audio 9.2
・Audio format   192kbps、48kHz、Stereo(2パスCBR)
出力ビデオデータ(MPEGファイル)のエンコード設定
映像 ・Video size         720 x 480
・Video bitrate     4000kbps(1パスCBR)
・Video codec      MPEG-2
・Video framrate 29.97fps
音声 ・Audio codec      MPEG-1 Audio Layer U
・Audio format   192kbps、48kHz


TMPGEnc 4.0 XPress による エンコード処理時間

  TMPGEnc 4.0 XPress
WindowsMediaファイル MPEGファイル
SSE2 SSE3 3DNow ! Enhanced
3DNow !
SSE2 SSE3 3DNow ! Enhanced
3DNow !
PhenomII X6 1090T BE (3.2GHz-3.6GHz) 55秒 55秒 56秒 56秒 12秒 11秒 41秒 39秒
PhenomII X6 1090T BE (3.6GHz-4.2GHz) 49秒 49秒 50秒 51秒 11秒 11秒 39秒 35秒
Phenom X4 9950 BE ( 3.0GHz ) 1分4秒 1分4秒 1分9秒 1分10秒 15秒 14秒 51秒 52秒
Core 2 Quad Q9650 ( 3.0GHz ) 55秒 56秒 - - 11秒 11秒 - -
※「PhenomII X6 1090T BE」の「Turbo Core」は倍率21xの4.2GHzが限界でした。

CINEBENCH R11.5 & TMPGEnc 4.0 XPressによる エンコード時のCPU温度
Phenom X6 1090T BEはCINEBENCH R11.5動作時のCPU温度です。オーバークロック状態ではヒートシンクに「ZIPANG SCZP-2000」を使用しています。
  無負荷時 処理中最高温度
Phenom X6 1090T BE (3.2GHz-3.6GHz) 28℃ 44.5℃
Phenom X6 1090T BE (3.6GHz-4.3GHz) 25℃ 34.6℃
Phenom X4 9950 BE ( 3.0GHz ) 34℃ 50℃
Core 2 Quad Q9650 ( 3.0GHz ) 34℃ 41℃
室内温度20℃

※「Phenom X4 9950 BE」「Core 2 Quad Q9650」のCPU温度はPhenom X4 9950 BEレビュー時のデータを掲載しています。


総評

1.6コアのPhenomII X6は格安プロセッサ、既存システムを継続使用可能

同じ6コアプロセッサでも約10万円という高価な「Core i7-980X Extreme Edition」と比べると、約1/3の予算である3.5万円前後で購入できる「PhenomII X6 1090T Black Edition」はかなりのお買い得感があり、更に「Core i7-980X Extreme Edition」購入資金でマザーやメモリーまでも一新できてしまいます。
DDR2メモリーやAM2+パッケージもサポートしているため既存の資産を無駄にすることなくCPUアップグレードが可能で、我が家手持ちマザーの「GA-MA790GP-DS4H」をBIOSアップデートすることにより「PhenomII X6 1090T Black Edition」を動作させることができました。

2.6コアをどう生かすか
この6コアをどう生かすかですが、最近のゲームはマルチスレッド対応が多いので、ゲーマーにとってコア数が多いことは有難いことです。我が家では、ゲーム用PCにはIntel製のCPUを使用していますが、「Phenom X4 9950 Black Edition」を使用したPCでは、「地デジ録画」2ch録画、「MTV2000」でCATVの録画、「DiXiM Media Server3 for mAgicTV」でDHCP-IPサーバー、Blu-Ray再生用というメディアサーバー的な用途で使用しています。
3番組同時録画、別の部屋からDHCP-IPサーバーで映画や録画した番組を見たり、Blu-Rayを再生したりと、全てを同時に利用しることが、たまにあるのでコア数が多いことは非常に有難いことです。 もともとキャッシュ容量の小さい「Phenom X4 9950 Black Edition」ではちょっと役不足かなという感じでしたが、この「PhenomII X6 1090T Black Edition」はキャッシュ容量もそこそこあって6コアは非常に魅力的なCPUです。まだ、全てを動作させてはいませんが、コア数が多いことは処理に余裕ができますので、強力なメディアサーバーとしてまだまだ活躍できそうです。

3.ベストな購入は
2.8GHz動作の「PhenomII X6 1055T」でも能力的には十分かと思います。また、価格的は2.2前円前後とかなり安くなっていますので無理して「PhenomII X6 1090T Black Edition」を購入することは無いと思います。
自分の好みと予算で検討することが一番かと思います。

注)オーバークロックによる製品破損は保証外ですのでオーバークロックは自己責任で行ってください。また、BIOSアップデートも自己責任で行ってください。


WindowsXPで問題発生(2010/05/03) update2010/05/06

WIndowsXPで4コアを超えると ntdll.dll が悪さする


本番環境ではカノープスのMTV2000を未だに使用していてドライバーサポートの関係(Windows7のWindowsXP Modeではデバイスを認識しません)でWindowsXPを使用しています。ところが、「PowerDVD10」の再生と地デジ用ソフトの「mAgicTV Digital」インストール時に「ntdll.dll」のエラーが発生してしまいました。ネットで検索してみたところこの「ntdll.dll」は今まで何度も問題が発生していたようです。
エラーの原因をいろいろ探ってみましたが結局のところマルチスレッド処理を行うアプリケーションにエラーが発生するようで6コアに対応できていないようです。そこで、マザーのBIOSで1コア「Disable」にして5コアにしてみましたが、だめで結局2コア「Disable」にして4コアにしたところ問題は解決しました。どうも、6コアを有効に利用するためには「Windows7」じゃないとだめってことですね。一応、「Windows7」上では問題ありませんでした。

update2010/05/06
コア数別に各ソフトの動作を確認しました。
WindowsXP SP3 コア数別のソフト動作状況
動作確認ソフト 4コア 5コア 6コア
PowerDVD10 DVD/BD 再生 動作OK エラー エラー
mAgicTV Digital インストール時 動作OK エラー エラー
mAgicTV Digital 再生 動作OK 動作OK フリーズ
DiXiM Media Server3 for mAgicTV 動作OK 動作OK 動作OK
SiSoftware Sandra Lite 2010.SP1d (マルチコアの効率) 動作OK 動作OK 動作OK
3DMark06 Build 120 (CPU) 動作OK 動作OK 動作OK
PCMark05 Build 120 (CPU) 動作OK 動作OK 動作OK
CINEBENCH R11.5 動作OK 動作OK 動作OK
TMPGEnc 4.0 Xpress トライアル版Ver.4.7.6.304 動作OK 動作OK 動作OK




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