2011/03/15公開


3TB大容量のHITACHI製ハードディスク
  
   Deskstar 7K3000 3TB


2011年3月8日に日立グローバルシステムテクノロジーズ(HGST)をWestern Digitalに譲渡することを日立から発表されました。この発表がある前に購入はしていたのですが、こんなことになる事は想像していませんでした。単純にメインPCのデータ用HDDの空き容量が少なくなってきたので、大容量かつ高性能な「Deskstar 7K3000 (HDS723030ALA640-0S03088)」を購入してみました。その、ベンチ結果です。参考までに、Marvell 88SE9123搭載したSATA 6Gb/sの玄人志向SATA3I2-PCIe (SATA 6Gb/s)も購入しテストしてみました。 ご参考になればと思います。


1.製品仕様

Deskstar 7K3000 (HDS723030ALA640-0S03088)仕様
容量
回転数
インタフェース
キャッシュ
面記録密度 (最大)
データ転送速度(最大)

3TB(1プラッタ 667GB)
7,200rpm
Serial ATA 6Gb/s
64Mbytes
637Mb/mm2
1656 Mb/s


Deskstar 7K3000 (HDS723030ALA640-0S03088) BOX品

Deskstar 7K3000 (HDS723030ALA640-0S03088) (7,200rpm,SATA 6Gb/s,64MB)


2.ベンチ測定環境

Windows7 測定環境
CPU
メモリー
VGA
マザー
サウンド
OS
ドライバー
SATA BIOS設定
ファイルフォーマット
Core 2 Quad Q9650 ( Yorkfield、45nm、3.0GHz、Quad lCore )
SanMax DDR2-1066 CL5 ELPIDA 2GB×2=4GB
nVIDIA GeForce GTX580
Asus Maximus II Formula(P45 + ICH10R) (BIOS:2302)
ONKYO SE-2000PCI LTD
Windows 7 Ultimate 64bit SP1
Windows7標準
IDE
NTFS

WindowsXP 測定環境
CPU
メモリー
VGA
マザー
サウンド
OS
ドライバー
SATA BIOS設定
ファイルフォーマット
Phenom X6 1090T BE (3.2GHz)
Corsair TWIN2X4096-8500C5DFDDR2-1066 CL5 2GB×2=4GB
ATI HD3300(オンボード)
GIGABYTE GA-MA790GP-DS4H(AMD 790GX + SB750) (BIOS:F7i)
オンボード(Realtek ALC889A)
WindowsXP Professional SP3 DirectX9.0c
Catalyst 11.2
IDE
NTFS


3.容量が2.2TBを超えるHDDを利用するには

ハードディスクはMBR(Master Boot Record)のLBA(Logical Block Address)領域にパーティション情報が32bitで割り当てられています。32bitで表せるパーティション情報の記憶容量が2.199TBに制限されているため32bit版OSのWindowsではMBRを使用した場合、HDDの使用できる容量は2.2TBに制限されます。
2.2TB制限を解決する方法として、Long LBAを使う方法があります。しかし、Long LBAをサポートしている代表的なOSは、64bit版のWindows7やWindows Vistaです。
2.2TBを超えるHDDをデータドライブとして使用する場合、OSがLong LBAをサポート(例、64bit版Windows 7)、GPT(GUID Partition Table)、およびHDDドライバーが2.2TB以上をサポートしている必要があります。
また、起動ドライブとして使用する場合、データドライブとしての要件に加え、EFI(Extensible Firmware Interface)のBIOS、およびWindows VistaやWindows 7などの64ビットOSが必要になります。ただし、Linuxの場合は、EFI BIOSは不要です。

1)64bit版Windows7でパーティション作成

64bit版Windows7では標準でGPTをサポートしているため、2.2TB以上のハードディスクのパーティションを作成することができます。

Windows7 64bit版 で GPTによるパーティションの作成


GTPパーティションにより2.8TB容量のパーティションを作成


2)32bit版WindowsXPでのパーティション作成

64bit版Windows7で作成した2.2TB以上のパーティションはそのままではWindowsXPでは正しく認識されません。
Windws7 で作成したパーティションは WindowsXP では使用できない

64bit版Windows7で作成したパーティションを認識するためにはHITACHIが用意した「Hitachi GPT Disk Manager」ソフトが必要になります。また、 WindowsXPで2.2TB以上のパーティションを作成場合にも「Hitachi GPT Disk Manager」を使用します。
日本語版「「Hitachi GPT Disk Manager」ソフトは下記サイトからダウンロードできます。
http://www.paragon-software.com/jp/hitachi/

32bit版WindowsXPでの「Hitachi GPT Disk Manager」

2.2TB以上のパーティションを作成する場合、メニューから「パーティショニング」-「新しいパーティションの作成とフォーマット」を選択します。
下記のパーティションの作成ウィザードが表示されるので、画面の指示に従って操作し画面を進めます。

「Hitachi GPT Disk Manager」でのパーティションの作成ウィザード


「Hitachi GPT Disk Manager」で作成したパーティションを「コンピュータの管理」で確認


3)SATA 6Gb/sのMarvell 88SE9123コントローラーカード

下記のベンチマークから転送スピードはシリアルATA2.0の300MB/sを下回っているのでSATA 6Gb/sカードを使用してもベンチ結果の向上は見込めませんが、一応、SATA 6Gb/sカードである玄人志向SATA3I2-PCIeカードでテストしてみました。このカードはPCI Express x1インタフェースで、Asus Maximus II FormulaのPCI Express x1はGen1であるため最大転送スピードは250MB/sまでです。
玄人志向SATA3I2-PCIe (SATA 6Gb/s)
Marvell 88SE9123搭載

ドライバーは下記サイトから「Drivers Version 1.0.00.1051 WHQL」をダウンロードして使用。
http://www.station-drivers.com/page/marvell.htm
Marvell 88SE9123のデバイス Marvell 88SE9123のポリシー設定
HDDドライブはSCSIディスクとして認識 HDDのポリシー設定
※カード側のポリシー設定でキャッシュを使用しない設定の方がベンチ結果が若干高かったので上記の設定でベンチ結果を取得しています。


4.ベンチマーク結果

CrystalDiskMark 3.0.1a
Windows7 Ultimate SP1 64bit Windows XP SP3 32bit Windows7 Ultimate SP1 64bit
Intel ICH10Rチップ AMD SB750チップ SATA3I2-PCIe(Marvell 88SE9123)カード


HD Tune 2.55 グラフ
Windows7 Ultimate SP1 64bit Intel ICH10Rチップ
Windows XP SP3 32bit AMD SB750チップ
Windows7 Ultimate SP1 64bit SATA3I2-PCIe(Marvell 88SE9123)カード


ATTO Disk Benchmark v2.46
Windows7 Ultimate SP1 64bit Windows XP SP3 32bit Windows7 Ultimate SP1 64bit
Intel ICH10Rチップ AMD SB750チップ SATA3I2-PCIe(Marvell 88SE9123)カード


5.総合評価


1)WindowsXP 32bit環境でも3TBハードディスクの利用は簡単
HITACHIが用意した「Hitachi GPT Disk Manager」ソフトを使用することによって、WindowsXP 32bit環境下でも2.2TB以上のパーティション作成を簡単に行うことができます。そのため、Windws7 64bit環境を準備しなくても既存でWindowsXP 32bitを使用しているユーザーでも「HDS723030ALA640-0S03088」を安心して利用することができます。また、特にSATA 6Gb/sのカードを準備することなくSATA2環境下でも十分な転送スピードを発揮することができるので、SATA2インタフェース搭載マザーであれば交換することなく、そのまま利用できるは大きなメリットかと思います。

2)WindowsXP 32bit環境でもWindows7 64bitと同じ性能を発揮
ベンチ結果を見ると、32bit版WindowsXPの方が64bit版Windows7より若干良いベンチ結果となっています。これは、チップセットの違いによるところが大きいように思われます。「AMD SB750」はHD Tune2.55ベンチを見るとディスクの先頭から最後まで安定した性能を発揮していて落ち込みが非常に少ないです。
「HDS723030ALA640-0S03088」はSATA2環境下でもシーケンシャルリード/ライトともに150MB/s以上という高性能ぶりを発揮しています。ただ、残念なのはMarvell 88SE9123搭載カードでは、シーケンシャル・ライトは「Crystal Disk Mark」では117MB/sとかなり低い結果となり、「ATTO Disk Benchmark」では、転送サイズが128KBから71〜73MB/sと極端に低下しています。

3TBという大容量かつ高性能なHDDを使いたいけど、WindowsXP 32bit環境で既存のマザーを継続して利用したいと言う方にもお薦めできるHDDかと思います。でも、IBMブランドのHDDがアキバから消滅したようにHGSTブランドのHDDもそのうち消滅するんでしょうね。寂しい限りです。









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