2018/01/05公開

Ryzen ThreadripperのSocket TR4に対応した水冷CPUクーラー
        ENERMAX ELC-LTTR360-TBP



「Ryzen Threadripper 1950X」を購入し、同梱していたSocket TR4用ブラケットを使用して CPUクーラーとして Corsair製「CWCH50」を使用しました。ただし、Corsair製「CWCH50」では冷却能力が不足しオーバークロック向きではありませんでした。そこで、「Ryzen Threadripper 1950X」の「Socket TR4」に特化し冷却能力の高いENERMAX製のELC-LTTR360-TBPを購入しました。ラジエターサイズは402mmと長いので取り付け可能なPCケースが必要になりますが、我が家のPCケースは「Cooler Master HAF X」のフルタワーを使用しているので取り付けには問題ありませんでした。
ELC-LTTR360-TBPのレビューを掲載しますので、ご参考にしてください。


1.ENERMAX ELC-LTTR360-TBP 製品仕様
仕様
型番 ELC-LTTR360-TBP
ウォーターポンプ 素材 銅 ( ベースプレート )
コネクタピン 3ピン
ウォーターチューブ 素材 ポリアミド(PA)ゴムチューブ
長さ 400mm
ラジエター サイズ 28×120×402mm
素材 アルミニウム
重量 約1395g (ファン除く)
ファン サイズ 120×120×25mm ( 3個付属 )
コネクタ 4ピン、PWM(パルス幅変調方式)に対応
回転数 500〜2300rpm
空気の流れ 23.81〜102.17CFM
静圧 0.673〜6.28mm-H2O
音響ノイズ 14〜28dBA
対応CPUソケット AMD:TR4/SP3

ELC-LTTR360-TBP本体及び同梱品

ELC-LTTR360-TBPウォーターポンプ本体とラジエーター ELC-LTTR360-TBPウォーターポンプ底部 同梱120mmファン x 3
柔軟性のあるポリアミド(PA)ゴムチューブ 取り付けネジ一式 ラジエターにファンを取り付け PWM4ピンファン端子用の3分岐ケーブル
ELC-LTTR360-TBP vs CWCH50 CWCH50のヒートスプレッダーを覆う範囲    
   
「CWCH50」はベースプレートのサイズが小さく「Ryzen Threadripper 1950X」のヒートスプレッダー全体を覆うこはできません。「ELC-LTTR360-TBP」 はベースプレートが大きいので「Ryzen Threadripper 1950X」全体を覆うことが可能です。    

※取り付け作業に入る前には電源のメインスイッチはオフしてください。作業中に誤って電源が入るとCPUを痛めますので注意してください。
「ELC-LTTR360-TBP」 の取り付け手順  
スタッドオフの取り付け CPUソケットの4か所のネジ穴に付属のスタンドオフをねじ込んで取り付けます。
ラジエターにファンを取り付け 事前に同梱の120mmファン3個を付属の長いネジ12本使ってラジエターに取り付けて置きます。また、PWM4ピンファン端子用の3分岐ケーブルも事前取り付けて置きます。
ケースの上部にラジエター取り付け ラジエターの取り付けは付属の短いネジを使って4か所ネジ止めします。左記画像はケースの上面から見たところです。
ラジエターには防振用のゴムが取り付けられているので、しっかり取り付けることができます。
ウォーターポンプの取り付け CPUには熱伝導グリスを塗り、その上からウォーターブロックをスタンドオフに取り付けます。
ハンドスクリューネジを強く締め込みウォーターヘッドポンプを固定します。ただし、ネジ込み過ぎてネジが馬鹿にならないように注意が必要です。
ファンコネクタの取り付け PWM4ピンファン端子用の3分岐ケーブルのファンコネクタをマザーボード右側のCPUファンコネクタに接続します。
ウォーターポンプの電源コネクタ接続 ウォーターポンプへ給電するために3ピンのコネクタをマザーボード左側の電源コネクタの下にあるウォーターポンプコネクタに接続します。
ウォーターポンプ動作確認 ウォーターポンプが動作するとポンプの「ENERMAX」の文字が光ります。


2.コア温度測定

測定環境
CPU Ryzen Threadripper 1950X (3.4GHz)
CPUクーラー ELC-LTTR360-TBP (水冷)
メモリー CORSAIR CMK16GX4M2B3200C16 (8GB X 2) X 2 = 32GB
XMP2.00プロファイル DDR4-3200
マザーボード ASRock X399 Taichi ( BIOS P2.00 )
システムHDD Crucial M4 SSD 256GB
サウンドカード CRIATIVE Sound Blaster ZxR
ネットワーク オンボード(Intel I211AT)
OS Windows 10 Pro 64bit( バージョン 1709 )
ビデオカード&ドライバー MSI nVIDIA GeForce GTX 1080 Ti ARMOR 11G OC(Force Ware 388.71 WHQL)
ケース Cooler Master HAF X (フルタワー)
使用電源 クーラーマスター V1200 Platinum (1200W)

ビデオ編集ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 6」を使用してエンコード処理時のコア温度を「Core Temp 1.11」で測定しています。
「TMPGEnc Video Mastering Works 6」 エンコード時のコア 温度比較
Corsair製「CWCH50」ではベースクロックが3.4GHzの場合、コア温度は66℃〜68℃を推移し最大コア温度は71℃でした。4.0GHzにオーバークロックした場合、コア温度は85 ℃〜68℃を推移し最大コア温度は88℃でした.。
ELC-LTTR360-TBPではベースクロックが3.4GHzの場合、コア温度は51℃〜53℃を推移し最大コア温度は56℃でした。4.0GHzにオーバークロックした場合、コア温度は60 ℃〜65℃を推移し最大コア温度は65℃でした。


3.オーバークロック

コア電圧設定:1.55V ベースクロック:4.2GHz

CINEBENCH R15


4.総合評価

1)取り付けはケースを選びます
ラジエターの長さが402mmもあるので、長いラジエターを収納できるフルタワークラスのケースが必要になります。購入前にケースの中にラジエターを取り付ける空間があるか確認する必要がありますのでご注意ください。我が家では「Cooler Master HAF X」のフルタワーを使用しているので問題なく取り付けできました。

2)オーバークロックしても安定した冷却能力を維持
「ELC-LTTR360-TBP」では4.0GHzにオーバークロックした状態でもエンコード時のコア温度は、「CWCH50」でベースクロックを3.4GHzに設定した時よりもコア温度が低い状態を維持し、非常に優れた冷却能力を示します。
どこまでオーバークロックできるか試したところコア電圧を1.55Vに設定した状態で4.2GHzまで動作し、「CINEBENCH R15」ではマルチコアで「3569」という驚異的なスコアを叩き出しました。
この冷却能力であれば4.0GHzでも常用可能かと思います。

3)「Socket TR4」に特化したウォーターポンプ
「ELC-LTTR360-TBP」はウォーターポンプのベースプレートは「Socket TR4」と同じサイズになっているので「Socket TR4」以外のCPUソケットには対応しません。「Socket TR4」専用のCPUクーラーですので「Ryzen Threadripper」以外のCPUでは使用不可でますので購入時にはご注意ください。

4)「ENERMAX ELC-LTTR360-TBP」は耐久性に問題有りです【2020/08/27 追加】
・2017年11月に新規購入。
・ウォーターヘッドの故障で2018年11月に再度購入。故障した製品は保証期間内だったので交換。購入した製品を使用し、交換品は交換用として保管。
・2020年8月ウォーターヘッドの性能低下。保証期間内に交換した交換品に交換。
「ENERMAX ELC-LTTR360-TBP」は3年で2度も交換したことになります。以前はCorsair製の簡易水冷クーラーを使用していましたが1度も故障したことがありませんでした。
「ENERMAX ELC-LTTR360-TBP」は2年も持たないということになり耐久性がありません。正直、お勧めできない製品です。




注)オーバークロックによる製品破損は保証外ですのでオーバークロックは自己責任で行ってください。



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