2009/03/20公開
古いノートパソコンをアップグレード
IBM ThinkPad G41 (2881-46J)
ノートパソコンの「IBM ThinKPad G41」を使用してきてそろそろ4〜5年経ちます。購入当時、それほど気にならなかったPCの性能も徐々に性能不足を感じるようになってきました。そこで、今回古くなったノートPCを延命させるためにアップグレードを試みました。ノートPCのアップグレードは自作PCとは異なりアップグレードの範囲は非常に限定されます。グラフィックはチップ内臓になっているためグラフィック性能を上げることはできませんし、内臓ハードディスクも増設することは不可能で交換するしか方法はありません。今回、「ThinkPad G41」のメモリ増設、ハードディスク交換、CPU交換を行いましたので参考にしてください。
注)アップグレードによって発生する直接的、間接的な結果および損害に対して一切責任を負いませんので、自己責任で行ってください。
1.ThinkPad G41 (2881-46J) の仕様
ThinkPad G41 (2881-46J) 本体 |
モデル | ThinkPad G41 2881-46J |
CPU | Celeron D 330 2.66GHz(FSB 533MHz、L2キャッシュ:256KB)、Socket478 |
チップセット | Intel 852GME |
OS | Windows XP Professional |
メモリ容量(標準/最大) | 標準256MB (PC-2700 DDR:SDRAM) / 最大1GB×2(メモリスロット) = 2GB |
FDD | 3.5インチ型(1.44MB/720KB) |
HDD | 30GB (4200rpm / 9.5mm) |
CD-RW&DVDコンボ | CD-R:最大24倍速、CD-RW:最大24倍速、DVD-ROM:最大8倍速、CD-ROM:最大24倍速 |
液晶ディスプレイ | 14.1V型TFT液晶、解像度:1,024x768ドット、1,677万色 |
PCカードスロット | TypeIIIx1, または II/I×2、CardBus対応 |
内臓グラフィック | チップセット内蔵(Intel Extreme Graphics 2) ビデオメモリ:8MB〜64MB、メイン・メモリーと共有 |
LAN | 10BASE-T/100BASE-TX |
オーディオ | ・AC97準拠ソフトオーディオ ・モノラル ・スピーカー |
I/Oコネクター | パラレル、モニター、マイクロフォン・ジャック、ヘッドフォン・ジャック、USB2.0(4)、RJ-11(モデム)、RJ-45(LAN)、PS/2 |
サイズ | 329(幅) x 283(奥行き) x 37〜51(高さ) mm(折り畳み時) |
重量 | 3.4 kg(バッテリー・パック、ベイデバイスを含む) |
主な付属品 | バッテリー・パック、ACアダプター、電源コード、マニュアル、TrackPoint用予備キャップ(2種類 各1個)、電話ケーブル |
IBM ThinkPad G41 (2881-46J) SiSoftware Sandra Lite 2009.SP2 システムオーバービュー |
2.アップグレード方法
ThinkPad G41 をアップグレードする方法は下記の3方法があります。
3.メモリ増設
1)メモリの増設手順
メモリを購入する前にCPU-Zなどのツールを使用して、ThinkPadG41で使用できるメモリを確認します。また、IBMのサイトでも確認することができます。
標準で搭載されているメモリ仕様をCPU-Zで確認 |
ThinkPad G41 で使用できるメモリ仕様 | ||
規格 | 200pin DDR-S.O.DIMM | ThinkPadG41で使用できるメモリはノートパソコン用の200ピン、DDR-S.O.DIMM規格のメモリしか使用できません。DDR2メモリは200pinでpin数は同じですがメモリの切り欠き位置が異なります。DDR3メモリは204pinでpin数が異なるためこれも使用できません。また、デスクトップ用のメモリは規格が異なるので使用できません。 |
メモリ速度 | DDR333(PC-2700) 166MHz |
ノートパソコン用にDDR400(200MHz)もしくはPC-3200のメモリが存在していますが、チップセットがこの速度をサポートしていませんが、通常、SPD情報には下位互換の情報が書き込まれていますので、下位互換となるSPD情報が書き込まれているメモリモジュールは利用可能です。ただし、バルク品ではこのSPD情報が書き込まれていなかったりしますので、SPD情報に食い違いのあるメモリモジュール同士を使うと動作しない場合がありますので注意が必要です。 |
バッファー | Unbuffered non-ECC | |
Latency | CL2.5-3-3 | Latencyは、SPD情報に書き込まれていますのでLatencyの違っているメモリモジュール同士を使用すると動作しないことがありますので要注意です。 |
最大/スロット | 1スロット最大1GB | 1スロットに装着できるメモリは最大1GBです。2スロット搭載されていますので1GBメモリを2枚で最大2GBまでです。一般市場ではノートパソコン用メモリでDDRは1GBのものしか流通していませんが、もし、1枚2GB容量のメモリが存在していても使用できないので注意が必要です。 |
IBMのサイトでの説明も参考にしてください。
1)バッテリーの取り外し:http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-50555
2)バッテリー取り外し手順 (ビデオ):http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-52371
3)メモリーの取り外し:http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-50557
4)メモリーの取り外し手順 (ビデオ) :http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-52373
5)メモリーの取り付け手順 (ビデオ) :http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-52374
増設したメモリの確認 |
2)Superπ104万桁
メモリ容量を増やしただけですが、Superπではかなりいい結果が出ました。
256MB | 1.25GB |
1分30秒 | 1分23秒 |
4.ハードディスク交換
項目 | 標準搭載HDD | 交換用HDD |
Travelstar 4K40-30 HTS424030 M9 AT00 |
WD Scorpio Blue WD2500BEVE |
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記憶容量 | 30GB | 250GB |
平均シーク時間 (リード) | 12ms | 12ms |
ディスク回転数 | 4,200rpm | 5,400rpm |
インタフェース | ATA100 | ATA100 |
データ転送速度 | 370Mbit/s | 600Mbit/s |
データバッファ容量 | 2MB | 8 MB |
外形寸法 (W×D×H) | 70×100×9.5mm | 70×100×9.5mm |
ハードディスクの交換には、インタフェースと本体の厚みに注意が必要です。最近、インタフェースはSerialATAが主流ですが、ThinkPad G41 は、UltraATA100インタフェースになります。別の呼び方ではパラレルATAとも言います。UltraATA133(下位互換なのでUltraATA100環境でも動作します)の規格もありますが、流通している2.5インチハードディスクはUltraATA100になっています。本体の厚みも重要で、昔は12mmぐらいのハードディスクも存在していましたが、現在流通している2.5インチハードディスクは9.5mmになっていますが、注意が必要です。
1)ハードディスク交換作業
操作画面 | 操作内容 |
ダウンロードしたファイルをクリックすると左の画面が表示されます。「次へ」をクリックします。 | |
BIOSアップデートユーティリティが起動します。画面の表示内容を確認し「次へ」をクリックします。 | |
最後に左の画面が表示されます。アップデートを開始する場合は「実行」をクリックします。 |
項目 | 画面 | 作業内容 |
1.リカバリーCDの準備 | ThinkPad G41はハードディスク内からリカバリーする「Disk to Disk機能」が搭載されています。ハードディスクには「IBM_SERVICE」というFAT32のパーティションが作成されていてその中にリカバリー用のデータがインストールされています。そのためリカバリーはCDは付属していません。しかし、リカバリーCDを作成するこが可能ですのでハードディスク交換する場合には、このリカバリーCDを使用します。 リカバリーCDを作成していない場合は、リカバリーCD作成から行います。 下記のサイトの手順に従ってリカバリーCDを作成します。 http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd06.nsf/jtechinfo/SYJ0-0100E5D リカバリーCDは、「リカバリーディスク 始動CD」が1枚、「リカバリーディスク ディスク1」〜「ディスク6」の6枚で合計7枚のCDが作成されます。 |
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2.出荷時コンテンツの復元 | リカバリーディスクの始動CDをドライブにセットして電源を投入します。「Rescue and Recovery with Rapid Restore」メニューが表示されますので、「出荷時コンテンツの復元」を選択し、マウスでクリックします。これは、新たなハードディスクにThinkPad出荷時と同じコンテンツを復元するための処理です。 何度か、確認画面が表示されますが、「OK」⇒「はい」⇒「OK」をクリックして行きます。 |
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左のような画面が表示されますが、ハードディスク内にはパーティションが切られていない状態なので、このような表示になります。 この画面では、「終了」をクリックします。 |
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リカバリー開始の同意画面が表示されますので、「同意します」にチェックし、「OK」をクリックします。一度、再起動しますが、そのまま次の画面が表示されるまで待ちます。 | ||
3.リカバリーディスク ディスク1〜ディスク6の インストール作業 |
リカバリーディスクを挿入するようディスク1〜ディスク6まで要求されます。CDをドライブに挿入し「OK」をクリックします。 「OK」した後、新たなハードディスクには「Disk to Disk 機能」に必要な「IBM_SERVICE」というボリューム名でFAT32のパーティションが作成されます。このパーティションにリカバリーディスクのデータがインストールされ、「Disk to Disk」でのリカバリーが可能になります。 |
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4.Disk to Disk の開始 | リカバリーディスク1〜6までインストール終了すると、ThinkPadは再起動し、ハードディスクからのリカバリー処理の「Disk to Disk」が開始されます。画面に「Rescue and Recovery with Rapid Restore」メニューが表示され「2.出荷時コンテンツの復元」で表示されたのと同じ左の画面が表示されます。 | |
表示される画面に従って「OK」もしくは「はい」をクリックします。すると左の「ネットワークドライブのマップ」の画面が表示されますが、「キャンセル」を押します。 | ||
「2.出荷時コンテンツの復元」の中の「コピー元、宛先選択」の時と同じ画面が表示されますが、「Z:」ドライブしか表示されていなかったのが「C:」と「D:」ドライブが表示されます。この画面では宛先を「C:」ドライブを選択し、「終了」をクリックします。 「2.出荷時コンテンツの復元」の中の「リカバリー開始の同意」の時と同じ、同意画面がまた表示されますので、「同意します」にチェックし、「OK」をクリックします。 |
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5.リカバリー処理の開始 | リカバリー処理は自動的に開始され、応答する画面の表示はありません。 | |
6.ThinkPad用カスタマイズ処理開始 | 一応、Windowsがインストールされると、ThinkPad用のアプリケーションのインストールやカスタマイズ処理が自動的に実行されます。 | |
7.Windows初期設定処理 | 基本的な処理が終了すると、ユーザー側の設定処理が開始されますので、「コンピューター名」「アドミンのパスワード」「ユーザーID」の設定画面が表示されたら各々画面に沿って設定を行います。その他は画面のメッセージに従って応答すると、すべての設定が終了しWindowsが起動しますので、リカバリー処理完了となります。 |
ハードディスクリカバリー終了後のハードディスク内容 |
項目 | WD Scorpio Blue WD2500BEVE |
Travelstar 4K40-30 HTS424030 M9 AT00 |
Drive Index | 55.30MB/s | 16.49MB/s |
Buffered Read | 84.17MB/s | 89.00MB/s |
Sequential Read | 65.15MB/s | 18.09MB/s |
Random Read | 40.64MB/s | 14.68MB/s |
Buffered Write | 36.16MB/s | 16.70MB/s |
Sequential Write | 64.89MB/s | 17.88MB/s |
Random Write | 40.48MB/s | 12.08MB/s |
Random Access Time | 9ms | 13ms |
5.CPU交換
1)CPU交換作業
IBMのサイトでの説明も参考にしてください。
1)バッテリーの取り外し:http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-50555
2)キーボードの取り外し:http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-50560
3)キーボードの取り外し手順 (ビデオ) :http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-52426
4)ミドルカバーの取り外し手順 (ビデオ):http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/MIGR-52446
5)LCD およびキーボード・ベゼル・アセンブリー:http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/SYJ0-0221B63
6)ファン・アセンブリー:http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/SYJ0-0227425
7)CPU交換:http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd03.nsf/jtechinfo/SYJ0-022AF27
2)CPUベンチマーク
@Superπ104万桁
CPU交換によって30秒短縮しています。
Celeron D 330 2.66GHz | Pentium4 2.8A GHz |
1分23秒 | 53秒 |
ASiSoftware Sandra Lite 2009.SP2 プロセッサーベンチマーク
SiSoftware Sandra Lite 2009.SP2 |
6.アップグレード終了後のThinkPad G41 システムオーバービュー
IBM ThinkPad G41 (2881-46J) アップグレード後 SiSoftware Sandra Lite 2009.SP2 システムオーバービュー |
7.アップグレードに掛かった費用
アップグレード内容 | 交換パーツ | 購入価格 |
メモリ増設 | SanMax製 SMD-N1G48H-J 1GB |
4,980円 (新品) |
ハードディスク交換 | WesternDigital製 WD Scorpio Blue WD2500BEVE 250GB |
8,980円 (新品) |
CPU交換 | Intel製 Pentium4 2.8A GHz |
1,980円 (中古品) |
合計 | 15,940円 |
参考までに、CPUは、中古品しか流通していません。Pentium4 3.06GHzだと中古品ですが6,980円で流通しています。
ハードディスクでは320GBがWesternDigital製のWD3200BEVEで約1万円ぐらいで流通しています。
UltraATA100インタフェースのハードディスクは流通量が低いためかSerialATAインタフェースのハードディスクより高めの価格になっています。