2001/8/15公開

第3回 なぜ14.31818MHz水晶発振子?

 今回は、マザーボードのお話ですが、そもそもCPUのクロックは1GHzとか1.8GHzとなっていますが、CPU単独ではこのクロックを作り出せないのはみなさんご存知かと思います。それでは、このクロックはどこから発生しているのでしょうか。マザーボードを良く見てみると、下記の画像の水晶発振子があるのが分かります。これがPC全体で使用するクロックの発振源です。

Abit BF6 の水晶発振子

PCのマザーボードにはこの水晶発振子が必ずついています。また、この水晶発振子の周波数は必ず14.31818MHzという中途半端な周波数となっていますが、これには理由があります。

1.PCの表示装置に家庭用テレビを使用していたため
14.31818MHzの水晶発振子はTV用サブキャリア(TVは情報を複数のサブキャリアに分けてデータ伝送します)で使用する周波数3.58MHzを作り出すための水晶発振子で、家庭用テレビに使用されていました。PCの表示装置は当初家庭用テレビや同じ信号を使うNTSCタイプのモニタに表示していたので、この水晶発振子の使用は都合が良かったのです。

2.安価である
なんと言っても、PCを普及されせるためには価格は大事な要素です。3.58MHzではなく14.31818MHzの周波数をそのまま使用したのは、テレビ、ビデオで多く使用する水晶発振子であるため大量生産のスケールメリットの恩恵を受けることができ安価に部品を入手することが可能であるためでした。また、周波数が高い分、精度も上がると考えられていました。

i386CPUの時代にはマザーボードにCPUに合わせて16MHz、25MHz、33MHzの水晶発振器(水晶発振子に発振回路を組み込んだもの)が取り付けられていました。また、複数の水晶発振器を取り付けてジャンパーピンで切り替えるマザーボードもありましたが、コストも高くつきました。CPUのアップグレードもし難く、当時の技術では30MHz以上の高周波数を水晶発振器で直接作り出すことは実現できませんでした。そこで、14.31818MHzの周波数から現在PCで使用しているような33MHz、66MHz、100MHz、133MHzなどいろいろな周波数を作り出すためのPLL回路が考え出されました。

PLL(Phase Locked Loop)回路とは、位相(Phase)を固定(Locked)した循環(Lopp)回路ということらしいのですが、回路の詳細は難しいので省略します。実際のマザーボードにはCPU用、PCIバス用、システムバス用の3個のPLL回路を持ったクロックジェネレータ回路(PLLクロックジェネレータ)によりそれぞれのデバイスに必要な周波数を作り出しています。

PLLクロックジェネレータを使うようになったのは、
1.安価な14.31818MHzの水晶発振子が使用できる。
2.発振回路をコンパクトにできる。
3.周波数の変更がジャンパーもしくはBIOS上で簡単にできる。
4.PLL回路によりいろいろな高い周波数を作り出すことができる。
などが、主な理由となっています。

このちっぽけな水晶発振子がPCにとって重要な部品であることが理解できましたでしょうか。みなさんもう一度、マザーボードをじっくり眺めてみてください。ちっぽけな水晶発振子が偉大に見えるでしょう!

※俄か勉強でしたので誤った理解になっているかも知れませんのがご勘弁を!!

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